盛岡中央高等学校
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Academic Lecture‐本校独自の国際理解教育プログラム

 東京海洋大学グローバル教育研究機構・小松俊明教授を特別講師にお迎えして定期的に開催する「Academic Lecture」は、グローバル化・多様化が進む現代社会における、モノの見方、考え方、行動の仕方を学ぶワークショップ形式の特別講座です。SZコース1年生を対象に開催する年間8回の特別講座を通し、現代社会の諸問題をグローバルな視点で深掘りし、生徒一人一人に、地球市民としての問題意識と自覚を育み、その解決のための主体性や責任感を育むことを目的としています。

 9月16日(土)、今年度6回目のAcademic Lectureが開催されました。「天然物と医療開発‐マレーシアから北海道、オーストラリア、シンガポール、そしてバルト海へ」をテーマに開催された今回の講座では、小松先生からこの日のゲスト講師でマレーシア出身の薬理学研究者Chin-soon Phan博士についての紹介からスタートしました。天然物(自然資源)の中から多くの疾病の治療に有効な新薬の可能性を探る病理学の意義。この分野で世界を舞台に活躍する新進気鋭の研究者Phan博士が、家庭の事情から高校時代は不登校になりがちで、ゲームにばかり時間を使ってしまったこと。勉強の蓄積があまりなかったため故郷から遠く離れた地方の国立大学に進学せざるを得なかったが、そこで病理学に出会い研究に没頭したこと。研究を深めるためマレーシアから北海道、オーストラリア、シンガポールと研究の舞台を移し、本年度末からはバルト海沿岸の国・ラトビアで研究室の長として研究に打ち込むこと。などPhan博士の今に至るまでの歩みを紹介してくださいました。その後、Phan博士と教室をオンラインで結び、Phan博士からを直接生徒たちにご講話いただきました。

 Phan博士は、高校生の頃にゲームに没頭した経験から、集中してとことんまで打ち込む姿勢、チームワーク、物事を批判的に思考する姿勢、ストレスに耐える力などを、気づかないうちに育むことができた。そして、それが現在の研究にも大きく役立っている。と話されました。また、現代社会に生きる生徒たちに向け、人生はすべてが計算通りに進むわけではない。ふとしたきっかけで自分の将来を大きく変えるチャンスに巡り会うことがあるのでそれを逃がしてはいけない。自分の興味があることに巡り会ったら中途半端ではなく徹底してやり通すことが大切である。環境によって学びは深められるのだから、国内の特定の場所だけに固執するのではなく、海外を含めた外の世界に積極的にチャレンジすることが大切である。など熱く語りかけました。

 講演を聞いた生徒たちからは「将来やりたいことがまだ見つかっていないが、どういう姿勢が大切ですか?」「どのようなゲームに打ち込み、それがその後の人生にどう役立ちました?」などの質問が寄せられました。

 多くの生徒が、Phan博士からの経験やメッセージを今現在の自身の立場に置き換え、まさに心のエンジンにスイッチを入れる絶好の機会となりました。次回のAcademic Lectureは10月28日に開催する予定です。